“伝える”ことで、わたしは少しずつ削れていった
わたしはずっと、“ちゃんと伝えなきゃ”って思ってた。わかってもらうには、工夫が必要だって。
言い方を変えたり、例え話を加えたり、時には自分の中の言葉を削って、相手の理解しやすい形にして、ようやく伝える…そんな日々だった。
でも気づいたら、そのたびに、わたしはすこしずつ、すこしずつ削れていってた。
感性では伝わらない場所にいた
「仕組みで売ることが重要です」
「感性では数字が上がりません」
「もっと論理的に」
「結果が出ないなら意味がない」
そう言われるたびに、わたしの“震え”は、奥へ奥へと引っ込んでいった。
構造も大事だった。でも、それだけじゃ届かない
もちろん、昔のわたしも、「仕組み化」や「再現性」を提唱していたし、実際それで整った現実や、うまく回る場面もたくさんあった。間違っていたとは思っていない。
あの時のわたしには、必要な視点だったし、 “形にする力”として、とても大切な要素だった。でも、気づいた。
どんなにきれいに整った仕組みも、最後の1ピース──“人の心が震えること”が欠けていたら、そこから先は広がらない。
“なんでこれ、動かないんだろう?”
“なにが足りないんだろう?”
その問いの奥にあったのは、「震えのない言葉には、人は動かない」という感覚だった。
限界の先で、ひとつの言葉が生まれた
ある日、限界がきた。
わたしが手渡した“震えのある提案”は、「数字が上がるイメージが湧かない」と言われた。ああ、この場所には、もうわたしの言葉は届かなくていいんだって思った。
そしてふと、ある言葉が浮かんだ。
もう、わたしを削って伝えなくていい。
わたしの震えが、伝わる人にだけ届けばいい。
震えは、ことばを取り戻していった
その瞬間から、わたしの世界は、すこしずつ音を取り戻していった。
伝えるのではなく、灯す
ことばは、「伝えるため」だけのものじゃない。それはきっと、“灯るため”にある。
この場に訪れてくれたあなたの中に、もし、ふと何かが震えたなら、その感覚は、わたしとあなたが、“同じ世界の入口”にいる証かもしれません。
静かに、ことばを灯していく場所として
静かに。ひらいて。残していく。
未来図書館には、そんな“ことばの灯り場”としての時間をそっと並べていきたいと思っています🌱